2014年6月27日金曜日

炭と灰

■ 風炉(ふろ)

夏季に席中で湯を沸かすためのもの。灰も火付きのいいように、また景色とするために風炉の種類によって様々に形作られます。

風炉の種類 も素材によって分けられ、
・土風炉(どぶろ)
・唐銅風炉(からかねふろ)
・真鍮風炉(しんちゅうふろ)
・鉄風炉
・板風炉などに大別されます。


また、風炉の各部により、
「火口」には木瓜(もつこう)・丸・三角・四角・菱・扇面・団扇・松皮菱・香炉・末広など、
「鐶付(かんつき)」には鬼面・獅子面・竜・象・賽・はじき・遠山・松笠・法螺貝・兎・蝙蝠・蝶など、
「足」には乳足・軸足・象足・鬼面足・獅子面足・蝶足・唐子足・丸足などがあります。

風炉は、その種類によって灰型を使い分けます。
(鬼面風炉の灰型は、二文字掻上灰、または、丸灰掻上)

火口を引きしるための装飾と点前座のほうへ火気が発散しないように
前土器(まえかわらけ)を用います。


また、台子、長板など棚物に風炉を据えるもの以外に風炉を据えるときは、必ず敷板の上に据えます。

■ 道具炭




■ 炭の名称


・胴炭(どうずみ)   
 道具炭の中で最も大きく、風炉・炉ともに初炭に用いる。

・丸管炭(まるくだずみ)   
 胴炭と同寸の細い炭で、風炉には初炭で使い、炉では初炭・後炭共に割管炭と一緒に用います。

・割管炭(わりくだずみ)   
 胴炭と同寸で、丸管炭を縦に割ったもの。風炉の場合は後炭に用います。

・丸毬打(まるぎっちょ)   
 胴炭に比べて細く長さも半分で、風炉では初炭・後炭共1本、炉ではともに2本用います。

・割毬打(わりぎっちょ)   
 丸毬打を立て半分に割ったもので、風炉・炉共に初炭・後炭に1本用います。

・点炭(てんずみ)   
 丸毬打の細めの炭で、風呂・炉共に初炭・後炭に1本用います。
 炭手前の最後につぐ炭で、止炭(とめずみ)とも言います。

・枕炭(まくらずみ )  
 炭斗(すみとり)に炭を組む時、最初に置く炭で、割毬打を使います。
 炭斗に炭を組むだけで、風炉・炉中には入れません。

・香合台(こうごうだい)   
 丸毬打の太めの炭で、香合をのせるのに用います。
 炭斗に炭を組むだけで、風炉・炉中には入れません。

 ・枝炭(えだずみ)   
 ツツジやコナラなどの枝を焼き、胡粉または石灰を塗って化粧を施した炭。
 景色として、また導火炭としての役割があります。

・輪胴(わどう)
 丸毬打よりも太めので、風炉・炉共に後炭に用います。


■ 炭道具


底土器(そこかわらけ)
    風炉の底に入れ、断熱の役割をします。底瓦とも言います。

前土器(まえかわらけ)
    前瓦とも言い、半円形の素焼または雲華焼の土器で、風炉の火窓の内側、五徳の左右の爪の間に立てて、火気をさえぎる役割をします。

灰形用灰匙(はいがたようはいさじ)
    風炉の灰形専用の灰匙で、灰の形を整えるのに使います。やや小ぶりに作られ、素材は銅製が多いようです。

小羽箒(こはぼうき)
    小羽(こばね)とも言い、火入や風炉の灰際を整えるのに用います。

五徳(ごとく)
    釜を火にかけるための台。

手焙(てあぶり)
    手炉とも言い、炉の時季に腰掛待合や席中で使用する小型の火鉢。

炭斗(すみとり)
    炭を入れる器のこと。唐物と和物に大別されますが、いろんな種類があります。多くは竹や籐のかごに内張りをして漆をかけたものが使われる。

羽箒(はぼうき)  
    羽で作った箒(ほうき)。ふつうは羽を三枚重ねたもの。

鐶(かん)
    釜の上げ下ろし用の金属製の輪。

香合(こうごう)
    香を入れるための蓋付きの器。陶磁器・漆器・木地・竹・瓢箪・金属・貝類・牙類と素材はさまざま。

釜敷(かましき)
    釜の熱や汚れで畳を損なわないように敷くもの。釜式にも和物・唐物があり、素材には組物・紙・竹・紐などがあります。

灰器(はいき)
    蒔灰を盛る器。風炉の灰形の景色として蒔く「藤灰」や、炭火の火付けを良くするために蒔く「湿し灰(しめしばい)」を入れるための器。

半田(はんだ)
    風炉と炉の火を整えるときに用いる大ぶりの灰器。

焙烙(ほうろく)
    素焼きの平たい円形の器で、灰器として用いる。

水屋の炭道具
    箱炭斗(はこすみとり)、掴み羽箒(つかみはぼうき)、水屋鐶(みずやかん)、長火箸(ながひばし)、板釜敷(いたかましき)、香溜(こうだめ)、底取(そことり)


■ 灰の種類


風炉灰(ふろばい)

    ふくさ灰ともいい、生灰(きばい)を目の細かい篩(ふるい)に通して、水で一度攪拌してアク抜きをし、浮いたゴミを取り除き、沈殿した粒子の細かい灰を天日干しして、絹篩にかけたもの。

藁灰(わらばい)

    稲藁の太くて芯が硬い、丸みを帯びた真っ直ぐなものを選び、塩水に浸したあと、水気を切り焙烙に並べて蓋をし、蒸し焼きにしたもの。

藤灰(ふじばい

    化粧灰とも言い、樹皮をはいだ藤を焼いたもの。風炉の蒔灰(まきばい)に化粧として用いる。

炉灰(ろばい)

    炉の下地灰で、アク抜きをして貯えたもの。

湿し灰(しめしばい)

    貯えた炉灰に湿り気を与えたもの。
    アク抜きをした灰を拡げて天日で乾かし、粗めの篩に通してゴザか上敷の上に拡げ、煮出した番茶をジョウロでまんべんなくかかけ、手でモンで全体を湿します。この作業を数回繰り返して程よい湿り気を残して篩に通し、カメに保存します。
    湿し灰は火のおこりを良くし風情が加わるので、炉の灰の仕上げ・炉の蒔灰に使用します。

(縄灰(なわばい)

    藁をなった縄を燃やしたもの。手焙りや火鉢に用います。

(籾灰(もみばい)

    籾殻をくすベて作った灰。
    縄灰と同じく、手焙りや火鉢に目先を変えるために用いることもあります。

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