2017年7月11日火曜日

名水点(めいすいだて)

2017年7月11日 名水点は、濃茶のみ

特殊点前…名水点
先の「葉蓋」「洗い茶巾」なども特殊点前ですが、この名水点もその一つです。
名水を茶の湯に使用することは、昔から盛んに行われていました。

【京の名水1】染井(そめい)の井戸/梨木神社(なしのきじんじゃ)
【京の名水2】醒ヶ井(さめがい)  かの千利休も用いていた水。
【京の名水3】県井(あがたのい)
長く枯れたままでしたが、京都御苑管理事務所(環境庁)によって、1997年に復活しました。

名水点は、神社などの御神水や、各地にある名水を朝に汲んできて茶の湯に用います。御客様に名水であることを示すために、水指にシメ飾りをしておきます。

水指は、以前は様々なつるべが使用されていましたが、最近は木地の釣瓶を使用します。事前に水で十分に湿しておき、シメを張ります。
(数日前から水に浸すと木目に沿って現れる和釘の錆に風情がある、と言われましたが、近日の釣瓶は錆が出ないものが多いです)

シメの張り方
シメ縄には、神事用の左綯(な)いの縄を使用します。緑色の縄が理想。
縄は雲、紙垂(しだ)は雷を意味し、古来豊作を祈って飾られてきました。

シメの張り方は、前後二つ、両横一つずつの紙垂(御幣ごへい)を付けて、勝手付き向こうの角で結びます(男結び)。

なお、名水点は、濃茶でするのがふさわしいです。

茶事など、薄茶になる時はシメを外して部屋に入りますが、
名水点は夏が多く、夏はほぼ朝茶事。
朝茶事は「続き薄※」が殆どなので、シメを張ったままでも構いません。


事前の点前座の準備
客が席入りする前の事前の荘りつけは、風炉の横に水指の釣瓶(つるべ)を据え、その前に通常の濃茶点前同様に茶入を荘り、迎付けをします。

建水に竹の蓋置と柄杓を用意します。




名水の所望
点前が始まり、茶碗、建水を運び出し、柄杓を蓋置の上に引いて総礼

正客:「名水点とお見受けしますが、お水を頂きたく存じます」と所望。

これを受けて茶入、茶杓等を清め、茶筅を出す。
茶巾を水指の左側(釜側)の蓋に乗せ、両手でその蓋を引き、右側の蓋に重ね、
柄杓で水を汲んで茶碗に入れ、客に水をすすめます。
 

正客は、茶通箱の二椀目に準じて次客に次礼をして名水を頂きます。
連客が順次水を飲み回している間に、正客は頃合を見計らって名水の由来などを聞きます。
「梨の木神社の名水でございます」
末客が茶碗を返します。

茶碗、茶入の置き合せ
水の飲み回しが終わると、茶碗に湯を入れて流し、もう一度湯を入れて茶筅通しをし、以下は普通の濃茶点前と変わりはありません。
置き合わせは、中仕舞いです。

 ※ 続き薄の最後 柄杓蓋置を飾って帰るけれど「湯返し」は無し
  湯返しは、柄杓を飾るからではなく、水指を運ぶかどうか。
  竹の蓋置も同様。棚の時は竹以外と言うが、棚の有無ではなく、水指が畳に直置きしてあるかどうか。但し例外はあり、長板の二つ置き(風炉と水指)は竹。