2024年12月4日水曜日

炉 貴人点 薄茶



炉・薄茶・貴人点

貴人点について
 「貴人点」は、高貴の方に対しての作法
  菓子器はすべて、足の高い高杯が約束で、白紙を折って乗せた上に菓子を盛る
  貴人に対して一人一碗が約束で、菓子器の高杯も一人づつ
 小習い十六ヶ条第一ヶ条 外隅狙い(貴人点と荘物)
 

貴人とは
 貴人とは、官位の高い人のこと
 日本でも戦前までは宮中を中心にして官位が定まっていた
 現在、茶の湯では貴人と尊称するのは皇族の方々の他、世の中のために功績があって勲位を授与された方達のことをいう。
 そうした身分の高い方にお茶を差し上げる時の点前が【貴人点】
 

貴人畳
 貴人がお座り頂く畳。神聖な場。

●準備
・天目茶碗を貴人台に載せ、茶巾、茶筅、茶杓を仕組む
・菓子は高杯に干菓子を盛り、お席入りと同時に持ち出す
 

●点前

茶碗を運び出す

1、茶碗を載せた貴人台を建付けに置き(両手で持てる位置に)、襖を開け、真の一礼

2、右手左手と貴人台をの縁(絵矢印部分)に手をかけて取り上げてから、右手をホウズキと茶碗に添えて持って運び出す。右膝から立ち上がり、畳の中央を進み、棚の正面に坐る

3、右手を台縁右方に持ち替えて、左手を少し手前にひかえて、勝手付左方に両手で仮置きする

4、天板の棗を右手で下ろし、棚前正面、右寄りに置く

5、仮置きの貴人台を右横、左手前と取り上げ、左横、右手前と持ち替えて、棗と置き合わせる

6、左膝から立ち上がり、水屋にさがる

7、建水を左手に持って席入りし、襖を閉め、居前(炉の左外隅を中心として斜め)に坐り、手なりに建水を置く。

8、左手で柄杓をとり、切り止めに右手を添え、構え(鏡柄杓)て留めて、右手で建水の中の蓋置を取り、柄杓の内側を通り、畳の縁より3目ずつのところに置く

9、柄杓を蓋置きに斜めに引く。畳と平行にしたところで柄杓の柄を離す
○ 半東は、このあたりで茶道口を開け、一礼してにじり入って、踏込畳に斜めに座って両手をついて控える

10、左手で建水を膝前の線(炉縁の線上)まであげて、居ずまいを正し、

11、貴人台を右手前、左横と持って取り上げ、右手を横にして膝前少し向こうに置く

12、棗を半月に取り、茶碗と膝の間に置く

13、帛紗を捌き、棗を清め、

14、棚の右角と炉縁の間の中心より棚側に置く

15、帛紗を捌き直して左手に持ち、右手で茶杓を取り、清め、棗の上に置く

16、右手で茶筅を取り、棗の右側に置き合わせる

17、帛紗を左手の人差し指と中指の間にはさんだまま、柄杓を右手で取りかまえ、右手で帛紗を取り、釜の蓋に乗せて蓋を開け、露をきる

18、蓋を炉縁の角を避けながら、蓋置に置き、帛紗を左膝横に置き、蓋に茶巾を乗せる

19、柄杓を持ち直し、湯を汲み、茶碗より合一つ分上に持ってきて、湯を茶碗に入れる。柄杓を釜にあずけ、

20、右手で茶筅を取り、左手を軽く茶碗に添えて茶碗を右手で一度打つ

21、右手左手と両手で台縁を持って手前に寄せ、

22、左手を茶碗に添え、茶筅通しを二度上げ三度打ちして、穂先を清める。茶筅を元の位置に戻す

23、茶碗を左手を添えて右手で取り上げ、左手片手で建水に湯を捨てる

24、茶巾を右手で取り、茶碗を大きく三回半拭き清める

25、茶碗に茶巾を入れ、左手を添えたまま茶碗を台にのせ、茶巾を釜の蓋の上に置く。
 

茶を点てる
26、右手で茶杓を取り、左手を畳に軽く付けて「お菓子をどうぞ」

27、棗を左手で取って、右手は茶杓を握り込み蓋を取り、右ひざ前に置く

28、茶を二杓すくい茶碗に入れ、茶杓を持ち替えて茶碗の縁で静かに打って茶を払う

29、棗の蓋をし、左手で置き、茶杓を棗の上に戻す

30、右手で水指の蓋の摘みを取り、左手で左上を持ち二手で、水指の左側に置く

31、柄杓を持ち、湯を汲み、茶碗に入れる。残りを釜に返し、静かに柄杓を釜にあずける

32、その手で茶筅を取り、左手は上から茶碗を押さえて茶を点てる。茶筅を元の位置に戻す
 
33、貴人台を右手左手と持ち、取り上げて客付に回り、台縁を右向こう左手前と上で回して定座に出す。左膝右膝と一膝退いて両手を畳につけ控える

○ 半東は、このお茶を取りに出て、貴人にさしあげる
(右向こう左手前と台を下で回して一膝退き一礼し、元の座に戻って控える)

●貴人の喫み方は法なしといいますが、お稽古の場合は、お茶が出されると、まず取り次がれた貴人台を両手に取り上げ、縁内次客の間に取り込み、、次客に「お先に」と次礼し、正面に置き、「お点前ちょうだいします」(真)と挨拶し、貴人台を右膝頭に置いて茶碗を取り上げ、左手にのせ感謝の気持ちでおしいただき、正面をさけ時計回りに回しいただく。

34、亭主はこれを受ける(行のおじぎ)

35、客の一口で亭主は帛紗を左手で取り、腰につける

● 客は茶を喫み、最後に吸い切りをして、喫み口を指先で清め、その指先を懐紙で清める。茶碗の正面をただし、縁外に置き、拝見をし、貴人台に乗せて正面を向こうに

○ 半東は、茶碗拝見が終わるとこれを亭主に戻す

36、貴人台が返ると、右左と膝進。貴人台を右横左手前と取り上げ、左横縁に直して両手で持ち、居前に回り下に置く

37、湯を汲み、茶碗に入れ、柄杓を戻す

38、左手で茶碗を取り湯を建水にあけ、正客から「おしまいください」の挨拶を受ける

39、茶碗を右手で下に置き、「おしまいさせていただきます」

しまいつけをする

40、右手で柄杓を取り、水指から水を汲み、茶碗に入れ、しまいの茶筅通しをする

41、茶筅を棗の横に置き、

42、建水に水を捨て、右手で茶巾を取って、茶碗に入れる

43、茶筅をとじ目を上にして茶碗に入れ、

44、右手で茶杓を取り、持ったまま左手で建水を下げる

45、帛紗を捌き、 茶杓を清め、茶碗にふせて置く

46、帛紗の茶粉を建水の上で払い、腰につける

47、棗を右手で、棚の右寄りに置き合わせる

48、貴人台を右左と両手で取り上げ、右手を少し控えて、棗の左側に置き合わす

49、釜から柄杓をとり、水指から水を汲み、釜に水を一杓さす

50、そのまま柄杓を釜に入れ、湯をたっぷり汲み、湯返しをする

51、柄杓を構え、釜の蓋を閉め、柄杓を蓋置に置く

52、水指の蓋を左手に右手と二手で閉め、正客から「お棗、お茶杓拝見を」

53、柄杓を右手で取り、棚に荘る

54、蓋置きを右手で取り、左手にのせ、棚の正面に向く。

55、蓋置を右手に持ち替えて、棚の柄杓の近くに荘り

56、貴人台を右横左手前で、勝手付に割りつける

57、棗を取り、左手にのせ、客付きに回る

58、棗を膝前に置き、帛紗を捌いて清める

59、帛紗を握りこんで蓋を取り、蓋裏を見て、蓋を膝前に置き、棗の口を向こう、手前と帛紗で清める

60、帛紗を握りこみ、蓋を閉め、帛紗を膝前に置き、棗の正面を正し右手で左側に出す

61、帛紗は腰につけずに、そのまま右手で取って左手にのせたままで水指正面に回り

62、左掌の帛紗の上に茶杓を乗せて居前に回り、右手で左上を持ち、回して棗の右に置く



 

水指に水をつぐ

63、建水を持ち、左に回って下がる

○ 半東は、建水を持って立った時に、棗と茶杓を自分の前に取り込み、正客に拝見に取り次ぎ、控えている

64、右左と貴人台の縁に手をかけて取り上げ、右手をホウズキと茶碗に添えて下がる

65、水次を持って入り、棚前左に手なりに置く

66、水指の蓋を右手で取り、左手で扱って、水指の左横に立てかける

67、茶巾を水次の口にあて持ち上げ水指に水をつぐ

68、茶巾を水次の蓋上に戻し、水指の蓋を扱って閉める

69、水次を正面から持って下がり、襖を閉め、拝見の返るのを水屋で待つ

● 正客は棗、茶杓と縁内に取り込み、亭主が水屋に入ってから次礼して、棗、茶杓の順に縁内で拝見をし、終わると、帛紗を茶杓から離し、出された反対に返す

○ 半東は、拝見が終わると、これを亭主に戻す

あいさつに答える

70、亭主は拝見物を取りに定座に座り、正客からの拝見物の問いに答える
 「棗のお形は?」「お塗りは?」「茶杓のお作は?」「ご名は?」

71、帛紗を腰につけ、右手で棗を取り、左手にのせ、右手で茶杓を持つ

72、水指に茶杓を預け、右手で棗を棚に荘り、茶杓を持って下がり、茶道口の建付に茶杓を置き、一礼して襖を閉める